【広告主の知見をAIに合成】P-MAXキャンペーンの新機能「検索テーマ」とは?

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2024.06.10

【広告主の知見をAIに合成】P-MAXキャンペーンの新機能「検索テーマ」とは?

みなさんはGoogle広告のP-MAXキャンペーンを活用していますか?

2021年11月から提供されているP-MAXキャンペーンですが、2023年10月に「検索テーマ」という新機能がβ版でリリースされました。

本記事では、P-MAXキャンペーンの基本情報とメリット・デメリット、またそのデメリットを補うための新機能である「検索テーマ」について紹介していきます。

P-MAXキャンペーンとは

P-MAXキャンペーンの「P-MAX」は、Performance Max(パフォーマンス最大化)の略称です。

P-MAXキャンペーンを活用すると、1つの広告キャンペーンで、Google検索、ディスプレイ広告、YouTube、Gmail、Googleマップなど、Googleのほぼ全ての広告チャネルに広告を配信できます。

出典:Performance Max campaigns launch to all advertisers

P-MAXキャンペーンがリリースされる前は、それぞれの広告チャネルで1つずつ広告キャンペーンを設定する必要がありました。しかしP-MAXキャンペーンでは、1つの広告キャンペーンで様々なチャネルへの広告配信が可能で、機械学習の利用により運用工数を大幅に削減することができます。

既存のキャンペーンからクリエイティブなどが新しくなったわけではありませんが、広告運用のプロセスをほぼ自動化することができるため、担当者にとっては大幅な工数削減につながる嬉しい機能です。

P-MAXキャンペーンのメリット・デメリット

本章では、P-MAXキャンペーンのメリット・デメリットについてそれぞれ3つずつご紹介します。

P-MAXキャンペーンのメリット

P-MAXキャンペーンには、大きく分けて以下の3つのメリットがあります。

①キャンペーン1つでほぼ全てのGoogle広告枠に配信可能

P-MAXキャンペーンがリリースされる前は、それぞれの広告枠について別々のキャンペーンを設定する必要がありました。

P-MAXキャンペーンでは、キャンペーンを1つ作成するだけで済むため、広告の管理がしやすく、また運用工数を大幅に削減できます。それだけではなく、複数の広告チャネルに対して広告の配信面積を最大化する効果もあります。

②機械学習を利用し、広告運用の工数を大幅に削減

P-MAXキャンペーンは、目標ベースのキャンペーンタイプです。広告の予算とコンバージョン目標を決め、アセット(広告表示用のテキストや画像、動画)とオーディエンスシグナル(ターゲティングのための学習データ)を事前に登録しておくことで、GoogleのAIが機械学習によって広告を最適化してくれます。

配信先に合わせたクリエイティブの作成、ターゲティング、入札戦略などが全て自動で調整されるので、広告運用の工数を大幅に削減することができます。

③コンバージョンの最大化

P-MAXキャンペーンは、コンバージョン目標の最大化を目指して最適化されます。ECサイトなどの販売フローでいうところの「購入」の部分を最大化することに向いています。

つまり、商品の販売促進や見込み顧客の獲得に適した機能となっています。企業が保有している商品やサービスに関するデータを利用することもできるため、ECサイトなどコンバージョンを重視したビジネスには最適です。

P-MAXキャンペーンを導入した広告主は、利用前と同程度の広告単価で、コンバージョン数が平均18%以上増加していると、Google公式ブログでは紹介されています。

P-MAXキャンペーンのデメリット

一方で、P-MAXキャンペーンには、大きく分けて以下の3つのデメリットがあります。

①広告の詳細設定がしにくい

P-MAXキャンペーンは、機械学習を利用することで広告運用の工数を大幅に削減します。これは言い換えると、広告主が人為的に操作できる設定が少ないということです。P-MAXキャンペーンの仕組みを理解しないまま活用すると、運用効果が出にくいというデメリットがあります。

②短期間では効果が発揮できない

P-MAXキャンペーンは、機械学習により広告配信を最適化していきます。そのため、短期間の広告配信では十分な成果を期待できません。Google広告の公式では、十分なデータを収集するために、少なくとも4〜6週間はテスト期間を設けるように推奨しています。

③配信結果の理由が分かりにくい

P-MAXキャンペーンでは、入札戦略をAIが最適化します。そのため、なぜそのような入札戦略で広告が配信されるのかがわかりません。AI全般に言えることですが、意思決定のロジックや背景が説明不可能な状況に陥ります。

P-MAXキャンペーンによって、広告効果が向上した(低下した)としても、なぜそのような結果になったかを考察しにくくなるというデメリットがあります。

検索テーマとは

P-MAXキャンペーンは、広告運用の工数削減とAIによる最適化という点で非常に強力な機能です。

しかし、広告主が設定できる範囲が狭かったり、十分なデータが溜まっていない状況では効果を発揮しにくいというデメリットがありました。

そこで、2023年10月にβ版として新しくリリースされたのが「検索テーマ」です。

検索テーマを利用することで、広告主がすでに持っている知見をAIに合成することができます。

具体的にいうと、ターゲット顧客が検索しているキーワードや、コンバージョンに寄与しているキーワードがすでに判明している場合は、そのキーワードを検索テーマに追加することで、これまでの広告主の知見とAIの学習を合成し、最適化を図ることができます。

また、新商品やサービスに関する情報を検索テーマに追加することで、最新の情報を素早くAIに学習させることも可能です。

このように「検索テーマ」という欄に、単語やフレーズを最大で25個セットできます。

検索テーマのメリットと活用方法

本章では、新機能である「検索テーマ」のメリットと活用方法、またその具体的な活用例について紹介します。

検索テーマのメリット

検索テーマには、主に2つのメリットがあります。

①広告主の知見をAIに合成

AIによる機械学習は著しく進歩していますが、完璧であるとは言えません。広告主のこれまでの知見をAIに合成することで、より精密に広告効果を最適化できる可能性があります。

すでに何度か広告を出したことがある商品やサービスであれば、どのようなキーワードでユーザーが検索しているかだったり、実際にコンバージョンに繋がったキーワードリストが手元にあるかと思います。

そのような場合は、それらのキーワードリストを検索テーマに追加し、広告主の過去の知見をAIに合成することで、広告戦略の最適化を図りましょう。

②機械学習の期間が短縮できる

P-MAXキャンペーンのデメリットでも紹介した通り、AIによる最適化のために、最低限4〜6週間はテスト期間を設けることが推奨されています。しかし広告主が検索テーマにキーワードを追加することで、学習期間を短縮できる可能性があります。

また、新商品やサービスをリリースした際にも、関連するキーワードを検索テーマに追加することで、より素早く広告戦略が新商品やサービスへ最適化されていくと期待できます。

検索テーマの活用シーン

検索テーマが効果を発揮するのは、主に以下の2つの場合です。

①商品、サービス情報がLPに不足している

P-MAXキャンペーンは、LP(ランディングページ)などの情報をもとに機械学習し、広告戦略を最適化していきます。そのため、LPに商品やサービスの情報が不足していると、学習も効率よく進まない可能性があります。

LPを即座に変更できる環境であれば影響は少ないですが、別部門や外部パートナーに変更を依頼する必要がある場合、対応が遅れてしまいます。

このような時はLPに不足している情報を検索テーマ上で補うことで、機械学習をより効率よく進めることができます。

②機械学習のデータが不足している

Google広告では、過去の広告データなどから機械学習し、広告戦略を最適化していきます。そのため新しくキャンペーンを作成した直後では、どうしても機械学習のデータが不足してしまいます。

またP-MAXキャンペーンは、デメリットでも紹介した通り、AIによる最適化のためには、最低限4〜6週間のテスト期間が必要となります。このような場合も、検索テーマにデータを補完することで、機械学習が進み、より素早い広告戦略の最適化が期待できます。

検索テーマの活用案

最後に、検索テーマの具体的な活用案について紹介します。

まだリリースされたばかりの機能であり、これから長期的に効果が検証されてゆく状況ではありますが、ひとまず簡単に効果が期待できる方法をご紹介します。

ECサイトでのコンバージョンに寄与する検索テーマ

例えば「サングラスを販売するECサイト」を運営しているとします。LP(ランディングページ)上では特にメンズ、レディースの区別をせず、全てのサングラスをユニセックスモデルとして売り出しているとします。

しかしECサイトのデータを分析すると、実は「サングラス レディース」と検索して購入した女性ユーザーが複数人いたことが分かりました。

この場合、明示的にそれらのキーワードを検索テーマとして追加することで、P-MAXキャンペーンの基本機能だけではリーチできなかった潜在顧客に対して、広告表示が最適化されることが期待できます。

新商品の検索テーマを手動追加する

また他の案を考えてみましょう。最近「調光機能」が付いた新商品のサングラスをリリースしたばかりで、まだLPにその情報が追加されていないとします。さらに、LPの変更には外部パートナーへの依頼が必要で、その調整が遅れています。

この場合、新商品に関連する「調光機能」などのキーワードを明示的に検索テーマに追加することで、「調光機能」のサングラスを探している潜在顧客に対して、広告表示が最適化されることが期待できます。

仮にLP変更が間に合っていたとしても、変更後間もない状況ではまだ十分にデータが蓄積されていないため、検索テーマに明示的にキーワードを追加しておけば確実です。

「検索テーマ」に、過去にユーザーが検索したキーワードやコンバージョンの獲得につながったキーワード、また新商品やサービスに関する情報を設定すれば、AIの学習が促され、広告戦略の最適化が期待できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では「P-MAXキャンペーン」と、そのβ版の新機能である「検索テーマ」について紹介しました。

現在はGoogle検索、YouTube、Googleマップ、Gmaiなど、Googleが提供するサービスを使わないユーザーの方が珍しくなっています。この状況を鑑みて広告戦略を考えた場合、Googleのチャネルにいかに効率よく広告を出していくかは非常に重要なポイントとなります。

P-MAXキャンペーンを活用することで、1つのキャンペーンで効率よくGoogleのチャネルに広告を掲載するだけでなく、運用工数の削減を実現しましょう。

また、新機能である「検索テーマ」を活用しながら試行錯誤することで、広告主の知見をAIに合成し、競合他社と広告戦略での差をつけ、ビジネスに有効活用していきましょう。

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