予測オーディエンスを活用した効果的な広告戦略

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2024.01.24

予測オーディエンスを活用した効果的な広告戦略

2023年7月1日にUA(Universal Analytics)のサポートが終了したことで、GA4(Google Analytics 4)へ移行された方が多いのではないでしょうか。

UAとGA4の大きな違いの1つに、GA4では機械学習を用いた「予測オーディエンス」を活用できるという点があります。本記事では、予測オーディエンスを理解し、Google広告で活用するための方法について紹介していきます。

「予測オーディエンス」を理解する上では、まず「オーディエンス」と「予測指標」という概念を理解する必要があります。

本記事では、1章、2章でオーディエンスと予測指標の定義や基本概念などについて紹介します。次に3章では、予測オーディエンスの定義や基本概念などについて紹介します。

そして4章では、実際にGoogle広告で予測オーディエンスを活用するための、Google広告とGA4の連携方法について簡単に紹介します。

オーディエンスとは

まず最初に、オーディエンスの定義や基本概念などについて紹介します。

オーディエンスの定義、基本概念

Google Analyticsのオーディエンスは、WEBサイトやアプリにアクセスしたユーザーを、その行動データや属性に基づいてグループ化する仕組みです。これにより、異なる特徴を共有するユーザーグループを効果的に分類し、マーケティングにおけるセグメンテーションやターゲティングに活用できます。

例えば、購入イベントが発生したユーザーで構成されるオーディエンスを作成することで、実際に商品を購入したユーザーグループを抽出し、そのユーザーグループに対して特定の広告やプロモーションを提供できます。

もしオーディエンスの規模が大きすぎて、実際の広告運用において活用しにくい場合は、より具体的な行動とユーザー属性が共通する小規模なユーザーグループを指定できます。例えば、以下のようにブレークダウンすることも可能です。

  • 1~5 個の商品アイテムを購入した、神奈川県在住のユーザー
  • 過去 7 日間に 1~5 個の商品アイテムを購入した、神奈川県横浜市在住のユーザー
  • 過去 7 日間に 1~5 個の商品アイテムを購入し、購入金額が 10,000 円を超える、横浜市在住のユーザー

オーディエンスは収集した任意のデータに基づいて作成できるので、必要に応じて幅広い、または細かい定義が可能です。

例えば「サングラスを購入したすべてのユーザー」のように幅広く定義することも、「青色ミラーレンズで、ラップアラウンド型の黒色フレームのサングラスを購入したすべてのユーザー」のように細かく定義することも可能なのです。

WEBサイトやアプリにアクセスしたユーザーの行動やデータがオーディエンスの条件に一致すると、そのユーザーはオーディエンスに追加されます。

オーディエンスにユーザーが追加されるペースは、アクセスしたユーザーの行動やデータが、オーディエンスの定義にどれくらいの頻度で一致するかによって決まります。幅広く定義された(条件が少ない)オーディエンスには、細かく定義された(条件が多い)オーディエンスよりも短期間でユーザーが追加されていきます。

Google Analyticsでは、当該データが利用可能な場合、最長30日分のデータを基にオーディエンスが構成されるので、もしオーディエンスの定義に当てはまるユーザーが過去30日間のデータにすでにいる場合、そのユーザーはすぐに追加されます。

収集されているデータがまだ少ない場合は、幅広く定義された(条件が少ない)オーディエンスで試してみるのがいいでしょう。

オーディエンスでできること

オーディエンスでは、WEBマーケティングの担当者にとって効果的な戦略を策定するための、重要な情報が確認できます。

オーディエンスを作成することで、そのオーディエンスに関する詳細なレポートも生成できます。Google Analyticsで特定のオーディエンスに関するレポートを開くことで、そのオーディエンスにおける、ユーザー数、コンバージョン、エンゲージメントセッション数、ユーザー環境などを把握できるのです。

また、レポートではオーディエンスを比較の基準として使用することもできます。ディメンションに「オーディエンス名」を指定し、ディメンション値に特定のオーディエンスを選択すれば、同じデータのコンテキストでオーディエンスを比較できます。

例えば「川崎市在住のオーディエンスは、横浜市在住のオーディエンスよりも多くのサングラスを購入したか」や「高額なサングラスをより多く購入したのは誰か」など、特定のオーディエンスグループの行動や成果を確認できます。

これにより、異なるオーディエンスを分析して、それぞれの行動パターンや傾向を理解することができます。
マーケティング戦略の最適化や、より効果的なコンテンツの提供に役立てていきましょう。

予測指標とは

GA4では、機械学習を活用した「予測指標」の機能を使うことができます。ユーザーの将来の行動を予測し、WEBマーケティングに活用していきましょう。以下では、予測指標の基本概念とその活用方法について説明します。

予測指標の定義、基本概念

予測指標は、過去のユーザーの操作データを元にして、将来の行動を予測するための指標です。主な予測指標として、「購入の可能性」「離脱の可能性」「予測収益」などがあります。これらの指標は、ユーザーの行動や特定のコンバージョンイベントに基づいて計算されます。

  • 購入の可能性:過去28日間に操作を行ったユーザーによって、今後7日間以内に特定のコンバージョンイベントが記録される可能性を示します。これにより、将来の購入を予測し、マーケティング戦略を最適化する手助けとなります。
  • 離脱の可能性:過去7日間にアプリやサイトで操作を行ったユーザーが、今後7日以内に操作を行わない可能性を示します。ユーザーの動向を理解し、離脱を予測することで、ユーザーとの関係を維持するためのリテンション戦略を強化できます。
  • 予測収益:過去28日間に操作を行ったユーザーが今後28日間に達成する全購入コンバージョンによって得られる総収益の予測です。ビジネスの将来の収益性を評価し、収益の最大化に寄与します。

予測指標でできること

予測指標を活用することで、以下のようなメリットが得られます。

  • データの価値向上:機械学習により、構造化されたイベントデータからより詳細な顧客情報が得られ、データの価値が向上します。
  • 効果的な戦略の策定:予測指標を使用してユーザーの将来の行動を理解することで、マーケティング戦略を効果的に策定できます。
  • リアルタイムな意思決定:予測収益などの指標を活用することで、ビジネスの将来の展望を把握し、リアルタイムな意思決定が可能となります。

また、特定の予測条件に基づいてカスタムオーディエンスを作成することで、より精緻なターゲティングが可能です。次章では、この予測指標を活用してカスタムオーディエンスを作成する「予測オーディエンス」について紹介します。

予測オーディエンスとは

予測オーディエンスの定義、基本概念

予測オーディエンスとは、予測指標を用いた条件を含むオーディエンスです。具体的な例として、今後の一定期間内に購入に至る可能性が高いユーザーを含む「7日以内に購入する可能性が高い既存顧客」のようなオーディエンスを作成できます。

オーディエンスを作成する際の予測条件では、次のいずれかのオプションを選択できます。

  • 可能性が高い(上位N%のユーザーを含む)
  • 可能性が低い(下位N%のユーザーを含む)
  • カスタム(割合範囲を入力するか、スライダーを使って範囲を選択する)

カスタム範囲を使用している場合は、スライダーを使用して、含まれるユーザー数とそれらのユーザーが予測条件を満たす可能性を確認できます。範囲が大きいほどより多くのユーザーが含まれますが、条件を満たす可能性が低いユーザーの数が増えます。

WEBマーケティングの戦略に基づいて、可能性が高いユーザーのみに絞ってターゲティングをするのか、より広範囲を対象にしていくのか、柔軟に調整することができます。

リマーケティングとリエンゲージメントへの活用

予測オーディエンスの基本的な活用方法として、「リマーケティング」と「リエンゲージメント」があります。

リマーケティング:

商品購入まであと一歩の状態にいるユーザーを特定し、マーケティングを実施することで、自社製品の購入に繋げることができます。

例えば、ある商品について詳しく調べた過去があったり、ショッピングカートに商品を追加した実績があるユーザーは、すでにそのジャンルの商品を手に入れる強い意思があることを示しています。

こうしたユーザーに対して、競合他社に広告施策を実施されてしまうと、同ジャンルの他商品を購入されてしまう可能性が高まり、非常にもったいない状況に陥ります。

また、こういったシンプルなシチュエーションだけでなく、GA4では機械学習を活用し、ユーザー属性における固有の行動パターンを深く掘り下げて特定した上で、ユーザーが商品購入に至る可能性を示すことができます。

このようなユーザーを対象に、綿密なリマーケティングキャンペーンを計画して説得力のあるフォローアップを行うと、商品購入を達成してもらうための「最後の一押し」ができます。

リエンゲージメント:

ビジネスにおいては、LTV(顧客生涯価値、ライフタイムバリュー)を高めることは非常に重要です。既存ユーザーの顧客満足度を高めることで、長く商品を使ってもらったり、再度購入してもらえるようになるのです。

GA4では機械学習を活用して、離脱する可能性があるユーザーを特定することができます。離脱する可能性があるユーザーは、これまでは商品やブランドへのエンゲージメントを示していたものの、それらへの関心が薄れてきていることを表しています。

商品の種類や、品質、価格、配送、その他オプションなどで、商品やブランドの価値を再認識してもらう必要があります。これらのユーザーをターゲットに、特典や割引の提供、新商品の紹介をすることで、ユーザーのエンゲージメントへ感謝をアピールし、離脱を防止しましょう。

Google広告とGA4の連携

ここまでは、予測オーディエンスを理解するために「オーディエンス」や「予測指標」、それらを活用した「予測オーディエンス」や「リマーケティング」「リエンゲージメント」について紹介しました。

予測オーディエンスを広告戦略に活用するためには、Google広告とGA4を連携する必要があります。最後に、連携によるその他のメリットや連携方法についても簡単に紹介します。

Google広告とGA4を連携させると、以下のようなメリットがあります。

  1. Google広告キャンペーンレポートで、Google広告キャンペーンのデータを確認できる
  2. ユーザー獲得レポートで、新しいGoogle広告ディメンションにアクセスできる
  3. アトリビューションレポート(広告をクリックしたユーザーがコンバージョンに至るまでの経路を確認する機能)など、広告セクションでGoogle広告キャンペーンのデータを確認できる
  4. Google広告アカウントにアナリティクスのコンバージョンデータをインポートできる
  5. アナリティクスのオーディエンスデータを使用してGoogle広告のリマーケティングを強化できる

なお、GA4とGoogle広告をリンクする場合は、特定権限のあるGoogleアカウントを使う必要があります。アカウントに以下の権限がない場合は、GA4またはGoogle広告の管理者に権限の付与を依頼してください。

  • GA4では、リンクするGA4プロパティの編集者のロールが必要です
  • Google広告では、GA4と同じGoogleアカウントに管理者権限が付与されている必要があります
  • Google広告クライアントセンターのアカウントにリンクすると、GA4からインポートしたデータをすべてのクライアントアカウントで利用できるようになります

具体的なGoogle広告とGA4を連携させる方法は公式ページに詳しく記載されています。以下のリンクから詳細情報をご確認ください。

Google広告とアナリティクスをリンクする

まとめ

GA4のオーディエンスと予測指標は、ユーザーターゲティングとマーケティング戦略において強力なツールです。オーディエンスを作成し、予測指標を利用することで、効果的なセグメンテーションとターゲティングが可能になります。

これにより、リマーケティングやリエンゲージメントを目的としたWEB広告が最適化され、ユーザーエンゲージメントとコンバージョンを向上させることが期待できます。

Google広告とGA4を連携し、予測オーディエンスを活用した効果的な広告戦略を活用することで、データ駆動のマーケティング戦略を展開し、ビジネスを成功に導きましょう。

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