Google広告「デマンドジェネレーションキャンペーン」とは?

デジタルマーケティング

2024.08.28

Google広告「デマンドジェネレーションキャンペーン」とは?

2023年10月にGoogle広告の「デマンドジェネレーションキャンペーン」がリリースされました。デマンドジェネレーションキャンペーンの「デマンドジェネレーション」とは、マーケティング戦略におけるフレームワークの1つです。顧客の関心やニーズを引き出し、それを商品やサービスの需要に変えるプロセスを指します。

本記事では、この新しいGoogle広告キャンペーンの特徴、効果的な活用方法、設定手順について詳しく解説します。デマンドジェネレーションキャンペーンを利用することで、効果的なリード獲得や顧客獲得を実現し、ビジネスの成果を最大化するための具体的な手法を紹介します。

デマンドジェネレーションとは

デマンドジェネレーション(Demand Generation:需要の創出)は、マーケティング戦略の中核をなす重要な概念であり、顧客の関心やニーズを引き出し、それを商品やサービスの需要に変えるプロセスのことを指します。

このプロセスは、さまざまなステップや手法を組み合わせて行われ、効果的なリード獲得や顧客獲得につながります。

デマンドジェネレーションの基本的な目的は、需要を生み出すことです。マーケティングにおける需要は、顧客が商品やサービスを購入する意思を持つかどうかに関連しています。

デマンドジェネレーションは、潜在的な顧客に対して自社の商品やサービスに関心を持ってもらい、購買意欲を高めることを目指しています。

デマンドジェネレーションのプロセスは、次のようなステップで進行します。

1.リードジェネレーション(Lead Generation):見込み顧客の獲得
デマンドジェネレーションの最初のステップは、まだニーズが顕在化していない潜在的な顧客(リード)を見つけ出すことです。これには、WEBサイトの訪問者やSNSのフォロワーなどが含まれます。リードジェネレーションの目的は、興味を持ってくれる人々を見つけ出し、彼らに関心を持ってもらうことです。

1.リードクオリフィケーション(Lead Qualification):見込み顧客の絞り込み
リードを顧客に変えるためには、そのリードが購買意欲を持っているかどうかを判断する必要があります。クオリフィケーションのプロセスでは、リードのニーズや予算、購買意向などを評価し、最終的な顧客になりうるかどうかを判断します。

2.リードナーチャリング(Lead Nurturing):見込み顧客の育成
リードナーチャリングでは、リードとさらなる関係性を育んでいきます。ナーチャリングのプロセスでは、リードとの関係を築き、信頼を構築します。適切なタイミングで適切な情報を提供し、リードから顧客へのステップアップを進めていきます。

デマンドジェネレーションは、効果的なマーケティング戦略の重要な要素であり、企業が競争力を維持し、成長するために不可欠です。

需要を生み出すためには、潜在的な顧客との関係を築き、彼らのニーズや関心に応えることが重要です。デマンドジェネレーションを通じて、顧客との信頼関係を構築し、効果的なリード獲得を実現しましょう。

デマンドジェネレーションキャンペーン

Google広告のデマンドジェネレーションキャンペーンは、顧客の関心やニーズを引き出し、それを商品やサービスの需要に変えるためのキャンペーンです。このキャンペーンでは、Googleの多様な広告プラットフォームを活用して効果的なリード獲得や顧客獲得を目指します。

YouTubeショートを含むYouTube、Discover、Gmailなどに広告を配信し、潜在顧客にリーチし需要を創出します。本章ではGoogle広告のデマンドジェネレーションキャンペーンの特徴や、期待できる効果について説明していきます。

キャンペーンの特徴

デマンドジェネレーションキャンペーンには、主に3つの特徴があります。

1.影響力の拡大:
○ ユーザーにとって没入感が高く、視覚に強く訴えるタッチポイントへアクセスできます
○ YouTube、Gmailなどの30億を超えるユーザーへリーチが可能です
○ YouTubeショートの視聴数は世界で1日500億回以上のため、効果的に潜在顧客にリーチすることができます

2.パーソナライズされた広告体験:
○ 類似オーディエンスを活用したターゲティングが利用できます
○ クリエイティブのA/Bテストが実施可能です
○ クリエイティブを表示しながら効率的に新しいキャンペーンをセットアップできます

3.AIを活用した入札と測定:
○ コンバージョンに基づく入札、価値に基づく入札、クリック数の最大化の入札戦略を活用できます
○ 検索数の増加を期待できます
○ ブランド効果を測定可能です

期待できる効果

デマンドジェネレーションキャンペーンに期待できる効果は主に以下の3つです。

1.広告の効果を高める:
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、YouTubeショートを含むYouTube、Discover、Gmailで広告を配信でき、最大30億人のアクティブユーザーにリーチが可能です。

そのため、幅広い見込み顧客に購入意欲を促すような広告配信ができます。さらに、GoogleのAIを活用して効果的な映像やメッセージを作成し、ユーザーの購買意欲を促進することができます。

2.広告体験をカスタマイズ可能:
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、オーディエンスの機能を活用することで、広告配信ターゲットに刺さるようなクリエイティブを配信できます。

GoogleのAIを活用できるため、ユーザーにとって最も没入感のある映像クリエイティブを関連性の高い見込み顧客に配信可能です。

また、類似セグメントを使用すれば新規オーディエンスにもリーチできますし、オーディエンス分析やA/Bテストの機3.能を活用することで最適なターゲットへ広告を配信し、広告のパフォーマンスを向上させることもできます。

3.AI を活用した入札と測定:
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、GoogleのAIを活用してマーケティングファネルを最適化し効果測定することが可能です。

ブランド効果測定や検索数の増加などのツールが用意されているため、広告費用に見合った成果を上げているかどうかを判断できます。

ツールやGoogleのAIから得られるデータを活用して、対象サイトへの流入を増やすために広告配信を最適化したり、効率的な指標に基づいた入札を行ったりできます。

以上が、Google広告のデマンドジェネレーションキャンペーンの特徴や期待できる効果です。このキャンペーンを活用することで、効果的なリード獲得や顧客獲得を実現し、ビジネスの成果を最大化することができます。

キャンペーンの活用方法

キャンペーンはどのように活用すればいいでしょうか。ここではP-MAXキャンペーンとの違いと活用シーンについて解説します。

P-MAXキャンペーンとの違い

デマンドジェネレーションキャンペーンと似たGoogleの広告キャンペーンに、P-MAXキャンペーンがあります。P-MAXは、Googleのすべてのチャネルと広告枠を一括で利用できるキャンペーンなので、広告掲載面の観点ではP-MAXの方がより広く潜在顧客にリーチできると考えられます。

一方でデマンドジェネレーションキャンペーンは、特にYouTubeショートを含むYouTubeやGmail、Discoverなど視覚的かつエンターテイメント性の高い面に特化しています。デマンドジェネレーションキャンペーンにしかできない機能もいくつかあるため、代表的なものを紹介します。

1.類似セグメント:
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、類似セグメントを活用できます。これにより、既存の顧客リストやサイト訪問者に似たユーザーへの効果的なリーチが可能となります。既存ユーザーに類似した新規ユーザーの獲得を目指す場合には、P-MAXよりもデマンドジェネレーションキャンペーンの方が適しています。

2.クリエイティブとリンク先のコントロール:
P-MAXは全自動のキャンペーンであり、アセットグループに追加したアセットで、よりパフォーマンスの良い組み合わせを自動的に選択します。

一方、デマンドジェネレーションキャンペーンでは、広告グループ単位でトラッキング可能であり、クリエイティブ単位でも設定が可能です。広告グループごとに入札強弱やクリエイティブの比較検証がしやすいため、P-MAXよりも柔軟な運用が可能です。

3.クリエイティブのA/Bテスト:
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、クリエイティブのA/Bテスト機能が用意されています。これにより、異なるクリエイティブの効果を比較したうえで、最も効果的なものを選定できます。

P-MAXにはこのA/Bテスト機能がないため、クリエイティブの効果を細かく検証したい場合には、デマンドジェネレーションキャンペーンの活用をオススメします。

キャンペーンの活用シーン

デマンドジェネレーションキャンペーンは2023年10月にリリースされたばかりの機能で、これから長期的に効果が検証されてゆく状況ではありますが、現時点でも効果が期待できる活用シーンをいくつかご紹介します。

1.新製品のローンチ:
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、YouTubeショートを含むYouTube、Gmail、Discoverなどの視覚的に訴えるプラットフォームを活用できます。

そのため、新製品を市場に投入する際には、デマンドジェネレーションキャンペーンの視覚的な宣伝効果を活用し、製品の魅力を強調することで潜在顧客の関心を引き出すのが効果的です。

さらに、類似セグメントを活用すれば、既存の顧客に似た新しいユーザーにリーチして効果的に新製品を宣伝できます。

2.季節キャンペーンやセールの告知:
季節限定のキャンペーンやセール情報を広める際にも、デマンドジェネレーションキャンペーンは頼りになる存在です。

視覚的な広告が目立つのでユーザーの注意を引きやすく、また特定の時期に潜在顧客に対して集中的にリーチすることが可能です。

さらに、A/Bテスト機能を活用して宣伝効果を試行錯誤していくことができるため、上手く活用することで広告効果を最大化できます。

3.イベントやウェビナーのプロモーション:
オンラインイベントやウェビナーの参加者を募集する際にも、実はデマンドジェネレーションキャンペーンが役立ちます。

ターゲットとなるオーディエンスに対して視覚的に訴求し、イベントの価値を強調できるので、参加意欲を高める効果が期待できるのです。また、類似セグメントを使用すれば過去の参加者に似た新規ユーザーにもリーチできるので、イベント集客としても効果的な活用が可能です。

デマンドジェネレーションキャンペーンは、視覚的な訴求力を活かし、ブランド認知度を向上させたい場合や、クリエイティブの効果を検証・最適化して効率的にリードを獲得したい場合に最適です。P-MAXキャンペーンとは異なる独自の機能を活用して、広告効果を最大化し、ビジネスの成果アップにつなげましょう。

キャンペーンの設定方法

キャンペーンの設定方法は以下の通りです。

設定手順

デマンドジェネレーションキャンペーンの設定は以下の6ステップで完了します。

1.新しいキャンペーンを作成する
○ Google 広告の管理画面で、+ボタン(新規作成ボタン)をクリックし、リストから「キャンペーン」を選択します。
○ キャンペーン名の欄に今回作成するキャンペーンの名前を入力します。

2.広告掲載の目標を選択する
○ 販売促進、見込み顧客の獲得、WEBサイトのトラフィックなどの選択肢の中から今回のキャンペーンの目標を選択します。
○ 目標を指定せずにキャンペーンを作成することもできます。

3.キャンペーンレベルのターゲティングをセットアップする
○ 「デバイス」セクションで、すべての対象デバイスに広告を表示するか、特定のデバイスをターゲットに設定するかを選択します。
○ 特定のデバイスにリーチを絞りたい場合は、パソコン、スマートフォン、タブレット、またはテレビ画面の中からターゲットに設定します。
○ もし特定の言語や地域をターゲットにしたい場合は、「地域と言語」セクションでターゲットユーザーの言語とターゲット地域を追加します。

4.入札単価と予算をセットアップする
○ 以下の中から入札戦略を選びます。
 ■ クリック数の最大化
 ■ 「目標広告費用対効果(tROAS)」入札戦略
 ■ 目標コンバージョン単価(目標CPA)
 ■ コンバージョン数の最大化
○ キャンペーンの1日当たりの予算を入力します。
○ キャンペーンの開始日と終了日を設定します。

5.広告グループを更新する
○ 既存のカスタム セグメント、データ セグメント、類似セグメントを検索するか、特定の興味や関心、または詳しいユーザー属性を選択して既存のオーディエンスを選択します。
○ キャンペーンのパフォーマンスを最適化する機能があるため、活用したい場合は「最適化されたターゲティング」を選択します。
○ 特定のターゲット戦略がある場合は、「データセグメント」や「類似セグメント」を活用して特定のオーディエンスを除外したり、ユーザー属性を選択して特定のユーザー属性のみを対象とすることもできます。

6.広告を作成する
○ 次のいずれかを選択します。
 ■ 動画広告
 ■ イメージ広告
 ■ カルーセル広告
○ 広告名を入力します。
○ メディアアセットを追加します。
○ ロゴを最大5個追加します。
○ テキストアセットを入力します。
○ このとき、広告の有効性(「平均」「良好」「優良」)が確認できるので、参考にしながら設定するのがおすすめです。

詳しくは、Google広告公式の「デマンド ジェネレーション キャンペーンを作成する」をご参照ください。

設定時の注意点

なお、デマンドジェネレーションキャンペーンの利用には、学習期間と審査期間に関する下記の注意点があります。

入札戦略に変更を加えた場合、Google広告による入札単価の最適化に伴い、パフォーマンスにわずかな変動が生じることがあります。

こうした状況を示すため、入札戦略のステータスが「学習中」と表示されていることがあります。ステータスにカーソルを合わせると、入札戦略のステータスが「学習中」になっている理由を確認できます。入札戦略の変更は、2週間の「学習」期間が経過してから行うことをおすすめします。

通常は、コンバージョンを50件以上獲得してからキャンペーンに変更を加えます。広告が審査を受けて承認されるまでには、少なくとも24時間かかることを考慮してください。

出典:デマンド ジェネレーション キャンペーンを作成する

デマンドジェネレーションキャンペーンを活用する際には、学習期間と審査期間も鑑みたうえで、キャンペーンのスケジュールを計画しましょう。

まとめ

デマンドジェネレーションキャンペーンは、顧客の関心を引き出し、ニーズを需要に変える効果的なマーケティング戦略です。デマンドジェネレーションキャンペーンでは、特に視覚的なプラットフォームを活用し、リード獲得や顧客獲得を目指します。

設定手順や活用方法、P-MAXキャンペーンとの違いを理解し、適切に活用することで、ビジネスの成果を最大化することが可能となります。デマンドジェネレーションキャンペーンを効果的に活用することで競争力を維持し、ビジネスを持続的に成長させていきましょう。

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