生成AIは今後Google広告にどのように活用されていくのか
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2023.11.20
みなさんはマーケティングで「生成AI」を活用していますか。毎日フル活用している方、プライベートでは使ったことがある方、名前は最近よく聞くけどまだ使ったことがない方、さまざまな方がいらっしゃるかと思います。
AIの発展により、WEBマーケティング手法は日々進化し、広告キャンペーンからデータ分析までのあらゆる分野に影響を与えています。そして、その中でも「生成AI」の発展は、WEBマーケティングにおける新たな可能性を切り拓こうとしています。
本記事では、生成AIの基本的な概念から、Google広告の最新機能における応用、生成AIが直面する課題、そしてこれからの時代にマーケターに求められるスキルについて紹介します。WEBマーケティングの未来がどのように変わるのか、その新たな展望を一緒に見ていきましょう。
生成AIとは
生成AI(Generative Artificial Intelligence)とは、機械学習により、自動的にテキストや画像、音声などのコンテンツを生成する技術の総称です。生成AIは、大規模なデータセットを学習し、そのデータから新しい情報を生成する能力を備えています。
特に自然言語処理に基づいた生成AIは、テキスト生成の分野で非常に進化しており、対話型AIや言語モデルが注目されています。
生成AIの代表的な応用例として、OpenAIが開発したGPT-3(Generative Pre-trained Transformer 3)が挙げられます。GPT-3は、テキスト生成において非常に高い性能を発揮し、コンテンツの自動生成、質問応答、文章要約、言語翻訳など多岐にわたるタスクで利用されています。
生成AIの進歩により、デジタルコンテンツの生成やカスタマーサポートなど、さまざまな領域で効率化が図られています。
ほとんどの方がChat GPTを聞いたことがあると思いますが、Chat GPTでは、このGPT-3やGPT-4というモデルが使用されています。2023年11月には「GPT-4 Turbo」という最新モデルが発表されました。
また、生成AIはWEBマーケティングにおいても大きな影響を及ぼしており、新たな広告キャンペーンの作成やユーザーエクスペリエンスの向上など、多くの可能性が広がっています。次章では、Google広告の最新機能において生成AIがどのように活用されていくのかを紹介します。
Google広告の新機能
2023年5月、GML(Google Marketing Live)2023が開催されました。
GMLとは、Googleが毎年開催するデジタルマーケティングに焦点を当てた大規模なイベントの1つです。このイベントでは、Googleが提供する広告プラットフォームやツールの最新のアップデート、新機能、戦略についての詳細が発表されます。
マーケティング担当者、広告主、エージェンシー、デジタル広告に興味のある専門家など幅広い参加者が集まり、デジタル広告業界の最新動向について知識を共有し、議論します。
GMLは、新しい広告フォーマット、広告キャンペーンの最適化方法、データ分析ツール、プライバシー保護の取り組み、ユーザーエクスペリエンスの向上など、デジタルマーケティングに関する幅広いトピックに焦点を当てています。
Googleのトップエグゼクティブやプロダクトマネージャーが登壇し、具体的な事例や成功事例を共有するセッションも行われます。
参加者は、Googleの広告プラットフォームをより効果的に活用し、最新のデジタル広告のベストプラクティスを学び、自社のマーケティング戦略に組み込むための洞察を得る機会として、GMLを楽しみにしています。
GML2023の重要なポイントは公式サイトでもまとめられているので、ぜひご参照ください。
GML2023で発表されたGoogle広告の新機能の中には、広告キャンペーンの作成とユーザーの検索体験の向上に革命をもたらすものがいくつもありました。以下では、その中でも生成AIを活用した新機能2つに焦点を当てて紹介します。
新しい会話機能でより効果的な検索キャンペーンを作成
Google広告でキャンペーンを作成する際には、キーワードの選定や広告コピーの作成など多くの時間とエネルギーを必要とします。しかし、新しい会話型の広告キャンペーンでは、生成AIを活用することで、担当者が自然な言葉でGoogle広告に依頼し、会話形式で広告キャンペーンを作成できます。
AIは質問や指示に応じて、効果的な広告アセットを自動生成し、広告キャンペーンの立ち上げを劇的に簡略化してくれるようになります。これにより、担当者は専門的な知識がなくても、効果的な広告を素早く作成し、競争力を維持できるようになるのです。
もちろん、自社内の専門知識とGoogle AIを組み合わせて、さらに効果的な検索キャンペーンを作成することができますし、まるで同僚に話しかけるかのようにGoogle 広告にアイデアを尋ね、効果的なキーワード、広告見出し、説明文、画像、および他のアセットを提案してもらい、対話しながら内容をブラッシュアップしていくことが可能になるようです。
しかも対象サイトのWEB URLを入力するだけでAIが必要なアセットを提案してくれ、承認や変更まで会話型で行えるというのは驚きです。
自動作成アセットの機能はすでに日本語でも提供がありますが、会話型の新機能は今後数か月以内に英語のβ版がリリースされるとのことで、日本語でのリリースはもう少し先になるのかもしれません。
生成AIを活用した新しい広告体験
Googleが最初に日本で検索機能を提供してから、すでに20年以上が経過しました。そして2023年8月、ついに生成AIを活用した新しい検索体験、SGE(Search Generative Experience)の試験提供が日本でも開始されました。
Google Search LabsにGoogleアカウントを登録することで、デスクトップのChromeブラウザと、スマートフォンのGoogleアプリ(Android、iOS)で利用することが可能です。
例えば「残暑見舞いはいつ頃送ればいいのか」という疑問があった際に、WEB検索では、「残暑見舞いとは」「残暑見舞い いつ」「残暑見舞い 送り方」など、1つの疑問を分割して検索し、複数のWEBサイトからの膨大な情報を整理し、つなぎ合わせて理解しなければなりません。
生成AIを活用したSGEでは、そうした面倒な作業の一部を代わりに実行してくれるようになるのです。
SGEでは、生成AIを活用し、考慮すべき重要な情報の概要を検索結果に表示してくれます。また、その下には、例えば「残暑見舞いに何を送ったら喜ばれますか」「残暑見舞いのマナーは」といった追加で質問できる候補を提示してくれます。
これらの候補もしくは「追加で聞く」をタップすると、新しい会話モードに移行し、調べているトピックについて会話型で質問できます。
質問から質問へと文脈が引き継がれるため、より自然に探索を続けることができます。 また、概要にある情報をより掘り下げて調べられるよう、WEBサイトへのリンクも表示されるようになります。
このような生成AIを活用した新たな検索体験には、ショッピング広告も連動される予定です。Googleは今後数か月以内に、AIによるスナップショットと会話モードの中に、試験的に検索広告とショッピング広告を直接組み込むと発表しています。
これにより、ユーザーは自然な対話の形式で検索ワードを入力し、それに応じてより関連性の高い広告を受け取ることができるようになります。ユーザーの検索体験が向上し、ユーザーが求める情報や商品に素早くアクセスできるようになることでしょう。
広告がユーザーのニーズに合致するため、ユーザーは広告をクリックしやすくなり、広告主にとってもコンバージョン率の向上が期待されます。
これらのメリットにより、生成AIを活用したGoogle広告の新機能は、広告主とユーザーの両方にとって魅力的なソリューションとなっています。しかし、新しい技術の導入には課題も存在します。次章では、生成AIの課題について検討していきます。
生成AIの課題
生成AIの導入には、非常に多くのメリットがありますが、その一方でいくつかの課題も浮き彫りになっています。以下では、生成AIの課題について検討し、WEBマーケティング担当者にとって重要な問題点に焦点を当てていきます。
プライバシーと倫理
生成AIは、ユーザーのデータを活用してパーソナライズされたコンテンツを生成するため、プライバシーと倫理の問題が浮上します。ユーザーのデータの収集と使用に関する法的制約と規制が厳しくなり、広告主は慎重にユーザーのデータを取り扱わなければなりません。
また、生成AIが誤った情報を生成する可能性があるため、広告内容の品質と信頼性を確保することが求められます。これらの倫理的な課題をクリアするために、広告主は厳格なガイドラインとコンプライアンスの確立に取り組む必要があります。
偽情報やフェイクニュースの生成リスク
生成AIがますます高度になるにつれ、偽情報やフェイクニュースの生成リスクが増大しています。悪意のある利用者は生成AIを悪用して、信頼性のない情報を大量に生成し、広める可能性があります。これに対処するためには、生成AIの適切な監視とコントロールが必要です。
広告主とプラットフォームは、偽情報の拡散を防ぐために協力し、これまで以上に、信頼性の高い情報環境を維持するように努めなければいけません。
著作権問題
生成AIは膨大な情報を元にコンテンツを生成するため、著作権問題がより複雑化していきます。生成AIによって生成されたコンテンツが他の著作物と酷似している場合、著作権侵害のリスクが生じる可能性があります。
広告主は、生成AIが適切なライセンスを持つ素材を使用するか、独自のコンテンツを生成する際に著作権に十分な注意を払う必要があります。
これらの課題に直面しながらも、生成AIはWEBマーケティングの分野で大きな進化を遂げており、正しいアプローチと適切なガイドラインを備えたマーケティング担当者にとって、強力なツールとなっています。次章では、AIを活用するために必要なスキルについて深堀します。
マーケターに必要なスキル
生成AIがWEBマーケティングの世界でも広がっていくと、人間にしかできないスキルがマーケターに求められます。以下では、生成AI時代に必要なマーケターのスキルについて掘り下げていきます。
戦略性と創造性
生成AIはコンテンツ生成などのタスクを効率的にこなしますが、それだけではマーケティングにおいて不十分です。人間のマーケターの役割は、戦略的な計画を策定し、創造性を駆使してブランド力を向上させることです。
戦略的思考やストーリーテリングのスキルは、マーケティング戦略を成功させる鍵となります。AIはツールとして活用されるべきであり、戦略性と創造性には人間のアプローチが欠かせません。
品質管理
生成AIが生成したコンテンツを利用する場合、品質管理が欠かせません。生成AIのアウトプットを評価し、品質やブランドメッセージに合致させるための調整や修正を行う役割が、人間のマーケターに求められます。
AIが人間の洞察力や感性を兼ね備えるにはもう少し時間がかかるでしょうし、もしかしたら永遠に到達できない領域かもしれません。品質維持と向上に関しては人間のマーケターが担当すべき領域と言えるでしょう。
人間的なつながりとデータの解釈
WEBマーケティングの成功には、顧客との人間的なつながりが欠かせません。AIはデータ提供や自動化を支援しますが、人間のマーケターが顧客との関係を構築し、維持する役割はやはり必要不可欠です。
また、データの解釈と最適化、コミュニケーションも人間のマーケターに求められます。AIが提供するデータを活用し、洞察を得て戦略を調整するための判断力は、マーケティングの成果を向上させるために重要です。
生成AIの台頭によって、マーケターの役割が変わりつつありますが、戦略、創造、品質管理、顧客エンゲージメント、データの解釈など、人間特有のスキルはますます重要視されるでしょう。生成AIを効果的に活用し、WEBマーケティングの成功に貢献するために、これらのスキルを向上させることが重要です。
まとめ
生成AIはWEBマーケティングの分野に大きな変革をもたらし、新たな可能性を切り拓いています。この記事では、生成AIの基本的な概念から、Google広告の新機能における応用、生成AIが直面する課題、そしてマーケターに求められるスキルについて掘り下げてみました。
生成AIがもたらすメリットとして、自然言語で会話しながら広告キャンペーンを作成できる柔軟性や、ユーザーの検索体験向上が挙げられます。これにより、効果的なコンテンツの生成と顧客へのターゲティングが向上し、マーケティングの費用対効果も向上するでしょう。
一方で、生成AIが直面する課題も存在します。プライバシーと倫理の問題、偽情報やフェイクニュースの生成リスク、著作権の侵害など、様々な課題が浮き彫りになっています。これらの課題への適切な対処が必要です。
また今後、人間のマーケターにとって必要なスキルにも変化が起きます。戦略、創造、品質管理、顧客エンゲージメント、データの解釈などが、AI時代におけるマーケティングの成功に重要な要素となります。
生成AIは今後も進化し続け、WEBマーケティングに新たな展望をもたらすでしょう。マーケターとしては、その進化に対応し、AIを戦略的に活用する能力を高めることが、競争力を維持する鍵となります。WEBマーケティングの未来は、AIとマーケターの協力によって切り拓かれることでしょう。
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